日本の「福祉国家」に関するノート(1)

金子勝(1999)『市場』岩波書店より*1。金子は現在の日本の政治的状況について、「社会民主主義が未形成なままニューライト的な市場原理主義が闊歩」*2していると述べ、55年体制における社会党が「平和主義」を強調したがゆえに欧米の社会民主主義政党的な役…

金子勝(1999)『市場』岩波書店

市場 (思考のフロンティア)作者: 金子勝出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/10/22メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (12件) を見る 実は、市場の暴走は、人々の生活のもっと奥深いところにまで入り込み、人間のあり方さえ変えてしま…

アントニオ・ネグリ=マイケル・ハート(2003)『〈帝国〉 グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』水嶋一憲他訳,以文社

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性作者: アントニオ・ネグリ,マイケル・ハート,水嶋一憲,酒井隆史,浜邦彦,吉田俊実出版社/メーカー: 以文社発売日: 2003/01/23メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 94回この商品を含むブログ (110件)…

〈帝国〉における難民(1)

土佐弘之のとある論文から。 難民は、主権国家の排除項というより、『長い二一世紀』システムの中心部ないし(ポストモダン的)《帝国》の排除項といった性格を持つようになってきている。国内避難民の現象に看守できるように、先進資本主義諸国の脱福祉化に…

チェックしたい文献(1)

Michael Dillion,"The Scandal of the Refugee: Some Reflection on the "Inter" of Intaernational Relations and Continental Thought",in Moral Spaces:Rethinking Ethics and World Politics. edited by David Campbell and Michael Shapiro. Minneapoli…

反動的批評家・東浩紀

『フリーターにとって自由とは何か』の著者、杉田俊介のブログ(http://d.hatena.ne.jp/sugitasyunsuke/)から、東浩紀の次のような記事を見つけた。「シンポに向けてのメモ」(http://www.hirokiazuma.com/archives/000361.html)「シンポに向けてのメモ2」…

難民問題に関する先行研究批判(1)

ネグリ=ハートは、近代性を批判する理論としてのポストモダニズムやポストコロニアリズムについて、次のような指摘をしている。 私たちは、ポストモダニズムとポストコロニアリズムの理論が、いずれは行き詰まるのではないかと疑っている。なぜならそれらは…

「僕は皆さんとは立場が違うけれども、皆さんのような運動を否定するつもりはありません」

これは、僕がI水ゼミの合宿に初めて参加して、築城基地周辺の住民が中心となって行われている座り込み運動を見学した時に、その場で発言を求められて言った言葉です(昨日、U野先輩と飲みながら話をしていて思いだしました(笑))。この発言、今読むだけ…

植民地主義と皇民化政策

ヨーロッパ人の〈自己〉同一性は、この弁証法的運動のなかで生み出されるのである*1。ひとたび植民地的主体が絶対的な〈他者〉として構築されるや、今度はそれより高い統一のうちに包摂される(抹消され持ち上げられる)。絶対的な〈他者〉は、もっとも固有…

〈帝国〉の枢密顧問官、サミュエル・ハンチントン(2008/02/01)

噂の「〈帝国〉の枢密顧問官、サミュエル・ハンチントン」を、アントニオ・ネグリ=マイケル・ハート(2004)『マルチチュード(上) 〈帝国〉時代の戦争と民主主義』幾島幸子訳,日本放送出版協会,75-79頁より(笑)。 「・・・今日、政治学者の大部分は、秩序の維…

「恥的思考」のはじまりはじまり

どうもはじめまして。この世界のどっかで大学生をやっているらしいFoucaultlianです(笑)。このブログでは、来るべき来年度の論文執筆に向けての「恥的思考」の軌跡を晒していきます。「恥的思考」というのは、それがこのブログに書かれる時点ではまだまだ…

アガンベンと生殺与奪の権(2)(2007/11/14)

ジョルジョ・アガンベン(2000)『アウシュヴィッツの残りのもの―アルシーヴと証人』上野忠男・廣石正和【訳】,月曜社を読んだので、今日はそのことについて(今月は「アガンベン祭り」です(ボム))。 まず、Amazonにおける本書のレビューを引用してみます。 …

アガンベンと生殺与奪の権(1)(2007/10/19)

今日は、風呂上がってからしばらく読んでた市野川容孝・小森陽一(2007)『難民』岩波書店について、「これ、おかしくねぇ?」って思ったことを書いてみます。 まずは、小森さんが執筆している第Ⅰ部から引用を。 「強制収容所は、先に引用したカール・シュミッ…

死生観の転換から生-権力へ(2007/10/05)

『臨床医学の誕生』を読んでみて、分かったことを書いてみます(全部読んだわけじゃないですよ^^;関係がありそうな「序」と第八章の「屍体解剖」というところだけ読みました)。 いきなりですが、ちょっと引用を。 「人類の恐怖とともに、同じ太古から存…

「死の中へ廃棄する」を検証する(2007/09/20)

「死の中へ廃棄する」という言葉は、市野川さんの著作をはじめとして結構色んな場面で引用されるフーコーの有名なフレーズですが、元々は以下のような文の一部をなすものです。 「死なせるか生きるままにしておくという古い権利に代わって、生きさせるか死の…