勉強ノート

フーコーの生権力とネグリの生権力

「ネグリは〈生権力〉と〈生政治〉という近年の鍵概念をフーコーに負っている。しかしその事実を超えたところで、これら二概念の意味がネグリとフーコーで大きく異なっていることはそれほど知られていない」*1と指摘する箱田徹は、両者の生権力論の違いにつ…

難民問題に関する先行研究批判(2)

本屋でふと見かけた萱野稔人の『国家とはなにか』の一節より(因みに、この本、久々に「衝動買い」してしまいました(苦笑))。 国民国家批判が正当にも指摘するように、国民国家の形態は近代をつうじて形成されてきたものであるならば、それ以前には国民的…

鋼鉄プリンさんへの応答―杉田俊介『無能力批評』について

無能力批評―労働と生存のエチカ作者: 杉田俊介出版社/メーカー: 大月書店発売日: 2008/05/01メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 258回この商品を含むブログ (43件) を見る杉田俊介(2008)『無能力批評 労働と生存のエチカ』大月書店、実際に読んでみました…

〈帝国〉における難民(1)

土佐弘之のとある論文から。 難民は、主権国家の排除項というより、『長い二一世紀』システムの中心部ないし(ポストモダン的)《帝国》の排除項といった性格を持つようになってきている。国内避難民の現象に看守できるように、先進資本主義諸国の脱福祉化に…

日本の「福祉国家」に関するノート(1)

金子勝(1999)『市場』岩波書店より*1。金子は現在の日本の政治的状況について、「社会民主主義が未形成なままニューライト的な市場原理主義が闊歩」*2していると述べ、55年体制における社会党が「平和主義」を強調したがゆえに欧米の社会民主主義政党的な役…

〈帝国〉における難民(1)

土佐弘之のとある論文から。 難民は、主権国家の排除項というより、『長い二一世紀』システムの中心部ないし(ポストモダン的)《帝国》の排除項といった性格を持つようになってきている。国内避難民の現象に看守できるように、先進資本主義諸国の脱福祉化に…

難民問題に関する先行研究批判(1)

ネグリ=ハートは、近代性を批判する理論としてのポストモダニズムやポストコロニアリズムについて、次のような指摘をしている。 私たちは、ポストモダニズムとポストコロニアリズムの理論が、いずれは行き詰まるのではないかと疑っている。なぜならそれらは…

〈帝国〉の枢密顧問官、サミュエル・ハンチントン(2008/02/01)

噂の「〈帝国〉の枢密顧問官、サミュエル・ハンチントン」を、アントニオ・ネグリ=マイケル・ハート(2004)『マルチチュード(上) 〈帝国〉時代の戦争と民主主義』幾島幸子訳,日本放送出版協会,75-79頁より(笑)。 「・・・今日、政治学者の大部分は、秩序の維…

アガンベンと生殺与奪の権(2)(2007/11/14)

ジョルジョ・アガンベン(2000)『アウシュヴィッツの残りのもの―アルシーヴと証人』上野忠男・廣石正和【訳】,月曜社を読んだので、今日はそのことについて(今月は「アガンベン祭り」です(ボム))。 まず、Amazonにおける本書のレビューを引用してみます。 …

アガンベンと生殺与奪の権(1)(2007/10/19)

今日は、風呂上がってからしばらく読んでた市野川容孝・小森陽一(2007)『難民』岩波書店について、「これ、おかしくねぇ?」って思ったことを書いてみます。 まずは、小森さんが執筆している第Ⅰ部から引用を。 「強制収容所は、先に引用したカール・シュミッ…

死生観の転換から生-権力へ(2007/10/05)

『臨床医学の誕生』を読んでみて、分かったことを書いてみます(全部読んだわけじゃないですよ^^;関係がありそうな「序」と第八章の「屍体解剖」というところだけ読みました)。 いきなりですが、ちょっと引用を。 「人類の恐怖とともに、同じ太古から存…

「死の中へ廃棄する」を検証する(2007/09/20)

「死の中へ廃棄する」という言葉は、市野川さんの著作をはじめとして結構色んな場面で引用されるフーコーの有名なフレーズですが、元々は以下のような文の一部をなすものです。 「死なせるか生きるままにしておくという古い権利に代わって、生きさせるか死の…